「なぜ自分が?」職務質問を受けてしまう条件と拒否できない理由とは? | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2018年2月27日

あなたは職務質問をされたことがありますか?何も悪いことをしていないのに職務質問を受けると、誰しも嫌な気持ちになりますよね。職務質問をされる人は何度もされる、されない人は全くされないと、不思議と二分化する傾向にあるため、警察が声をかけるにあたり何らかの基準があると思われます。職務質問をされる基準とは何なのでしょうか。
また建前上では任意とされる職務質問ですが、実際には拒否できないといわれています。なぜ拒否できないのでしょうか。職務質問が拒否できない理由についても触れていきます。

職務質問される基準とは

職務質問は誰でも彼でも対象となるわけではありません。法律上で定められた要件と、具体的な事例を紹介します。

法律上の要件は「不審者」と「情報提供者」

職務質問とは、警察官職務執行法第二条を根拠とした警察活動です。警察官職務執行法第二条一項では、職務質問の要件について次のように定めています。

警察官職務執行法第ニ条一項 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

ここでは、異常な挙動などで犯罪者と疑わしい人と、犯罪について知っている人については、職務質問することができるとあります。平たく言えば、「不審者」と「情報提供者」が職務質問の対象となるようです。

職務質問されやすい条件とは

法律上の職務質問の要件だけでは抽象的で、はっきりしませんよね。事件の目撃者や関係者であればまだしも、普通に歩いているだけなのに、職務質問に合ってしまうこともあります。
犯罪が起きやすい地域や時間帯、未解決の事件が近くで起きているなど、周辺環境によっても職務質問の頻度は変わるでしょうが、疑わしい人物像の典型はあるようです。自分では意識していなくても、警察からは異常な挙動に見えていたり、犯罪の関係者だと疑われてしまったりするポイントを紹介します。

疑われる見た目や様子
・目をそらすなど、警察を避けるような動きをする(やましいことがある?)
・帽子を目深にかぶっている、うつむいて歩いている(やましいことがある?)
・早足で歩いている(逃走中?)
・靴が汚い、左右あっていない(逃走中?)
・指名手配者と似た特徴がある(関係者?)
・大きなリュックを背負っている(凶器を所持している?)
・ミリタリー柄の服装(凶器を所持している?)
・冬なのに薄着、夏なのに厚着など季節に合わない服装(薬物による知覚異常?)
・季節に関係なく汗だくになっている(薬物反応?)
・呂律が回っていない(薬物反応?)
・平日の昼間に私服(無職が起こす事件が多い)
・外国人(トラブルが多い)

怪しいといわれれば怪しい気もしますが、「〇〇な人は怪しい」という基準はどれも推測の域を出ず、一般の人からしたらただの偏見や差別です。「こんな理由で・・・」と感じてしまっても仕方がありませんが、犯罪の抑止という職務質問の性質を考えたら、過去の事例に基づいて判断するしかないのかもしれません。実際に検挙に結びついているのも事実です。

職務質問で行われること

実際の職務質問でどのようなことが聞かれるのかを紹介いたします。すべて任意での質問や確認となりますが、下手に拒否すると追求が激しくなる恐れがあります。

身元確認

口頭で身元確認が行われます。指名手配や捜索願の対象者ではないか、(フラフラしていれば)住所侵入をするつもりではないか、その他おかしなことを口走っていないかが確認されます。聞かれたり求められたりするのは下記のような情報です。

・どこへいくのか、何をしているのか
・氏名
・住所
・職業
・身分証明書の提示

所持品検査

違法薬物や刃物などが入っていないか、ポケットの中身やカバンの中の検査が行われます。原則、先行した職務質問により必要性があると判断され、かつ所持者の承諾の上行われなくてはなりません。
検査は外から中身を確認する程度ですが、疑わしさによっては、財布の中のクレジットカードの名義まで見られるケースもあるようです。名義が異なるクレジットカードを持っていないかを確認する目的のようですが、警察官を装った詐欺の可能性もあるため、必ず事前に警察手帳の提示を求めましょう。怪しいと思ったら、所属と名前を聞いて控えておくのも良いかもしれません。

職質は拒否できるのか問題

職務質問は法律上では任意での活動なので、拒否するという選択肢もあります。しかし実際は、拒否してもすんなりと解放してくれることはなく、むしろ「拒否=嫌疑が深まる材料」となってしまい、かえって追求が激しくなってしまうようです。
職務質問は、全体の約4割が30歳未満の若い層で構成される地域警察官によって行われています。実務経験が浅い警察官も多いため、職務濫用となるような強引な方法を使われることもあるようです。
では職務質問でどこまで許されるのかを過去の実例から紹介します。

濫用とはならないケース

質問をするために足を止める行為は、職務の範囲内と考えられているようです。また、重大事件の嫌疑や緊急性がある場合には、許可のない所持品検査が認められることもあります。
具体的には下記のケースは適法とされています。

◯適法となる職務質問
・立ち去ろうとする人を留め置く行為(長時間は違法になることも)
・足を挟んでドアが閉まらないようにする行為
・自動車のエンジンを切ってエンジンキーを抜き取る行為
・逃走を図った対象者を追跡して、手首や腕、肩をつかんで停止させる行為
・施錠されていないカバンのチャックを開けて一べつする程度の所持品検査

濫用となるケース

停止させる目的を超えた身体拘束や、必要性のない有形力や物理力(羽交い締めなど)の行使は許されません。所持品検査でも、許可なく隅々まで調べるような「捜索」にあたる行為は違法となります。違法な手段によって得られた証拠は無効となるため、無罪判決がでることもあります。

✕違法な職務質問
・逮捕令状もなく敷地内へ侵入したり強制的に連行したりする行為
・私服で警察官と名乗らない、警察手帳の提示を行わずに職務質問をする行為
・無理矢理旅行カバンをこじ開ける、許可もなく内ポケットの中を探るなど、強制的な所持品検査
・職務質問を利用した盗撮行為や恐喝行為

上記のような違法な職務質問を受けたら、都道府県の公安委員会へ問い合わせましょう。文書による苦情の受付を行っています。警察官の所属や名前を控えておきましょう。

職務質問に対する最善策とは

職務質問は任意によるものですが、拒否するとあらぬ疑いをかけられてしまう可能性があります。こちらが頑なになればなるほど、1で済んだところを5にも10にも事が大きくなってしまいます。
拒否は警察官にとってやる気スイッチのようなものなので、声をかけられてしまったら素直に応じるというのが最善策となります。運が悪かったな、程度に思っておくのが良いでしょう。どうしても納得できないのであれば、なぜ自分に声をかけたのか理由を聞きましょう。自分では気づかない怪しいポイントがあるのかもしれません。再度声をかけられないように改善することもできます。
職務濫用ともいえる職務質問を受けた場合には、警察手帳の掲示を求め、所属と名前を控えて、公安委員会へ苦情を申し立てましょう。音声録音や動画に収めておくと証拠となります。
警察だからといって何をしてもよいわけではありません。困ったら弁護士へ相談してみることも一つの手です。