結婚式の余興ムービーを作るその前に!必ず著作権の確認をしましょう | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2018年1月22日

結婚式のBGM決めや、余興ムービーやプロフィールムービといった動画コンテンツを作る際に、絶対にぶつかるのが著作権の壁です。自宅や車の中で好きに音楽を楽しむのは自由です。しかし結婚式場は営利目的の施設であり、結婚式自体も私的なイベントとはみなされないために、多くの制限が発生します。
新郎新婦や余興ムービー担当者必見!今回は結婚式での音楽利用における著作権について紹介いたします。

音楽著作権の種類

音楽に関する著作権には、音楽を創作した本人に認められる著作権と、音楽を広める人(アーティスト、レコード会社など)に認められる著作隣接権があります。

著作権

音楽を作成した本人に保障される著作権には下記のような種類があります。これらすべての権利を創作者本人が管理するのは難しく、ほとんどの場合で、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)などの著作権管理団体に権利が譲渡されています。法律上ではJASRACに著作権があるため、利用したい場合には、JASRACに著作権料を支払う必要があります。

創作者の著作権

複製権 楽曲の販売を目的にCDなどの媒体に複製する権利
上演権・演奏権 楽曲を公衆に上演、演奏(CDで流すことも含む)する権利
上映権 機器などを用いて楽曲を公衆に上映する権利
公衆送信権 著作物をテレビ・ラジオなどのメディアを使って公衆に送信する権利
譲渡権 複製された著作物を公衆に譲渡する権利
貸与権 著作物を公衆に貸与する権利
二次的著作物の利用権 編曲、翻訳した曲を利用する権利
口述権 著作物をテレビ・ラジオなどのメディアを使って公衆に送信する権利
編曲権・翻訳権・翻案権 歌詞を翻訳したり楽曲を編曲したりする権利

ほとんどの式場は、JASRACと包括契約を結んでいるため、JASRACが取り扱っている曲であれば式場を通して著作権の利用が可能です。 非営利目的かつ無償での提供であれば許可が不要な権利もありますが、式場は営利目的の施設であるため、許可が必要となります。 なお編曲権・翻訳権・翻案権については、JASRACに譲渡されていない権利なので、創作者や出版社への直接の問い合わせが必要です。

著作隣接権

著作権とは別で、アーティストやレコード会社に保障されている権利に著作隣接権というものがあり、下記のような種類があります。

実演者(アーティスト・演者)の著作隣接権

録音権・録画権 自分の演奏を録音・録画する権利
放送権・有線放送権 自分の演奏を放送する権利
送信可能化権 自分の演奏をインターネット上などに公開する権利
譲渡権 自分の演奏の録音や録画を公衆に譲渡する権利
貸与権 市販のCDなどを公衆に貸与する権利

レコード製作者(レコード会社)の著作隣接権

複製権 自社で販売しているCDを複製する権利
送信可能化権 自社で販売しているCDをインターネット上などに公開する権利
譲渡権 自社で販売している複製されたCDを公衆に譲渡する権利
貸与権 市販のCDなどを公衆に貸与する権利

上記著作隣接権については、JASRACでは管理していないため、レコード会社など著作隣接権者の許諾が別途必要となります。
なお結婚式場で流す音楽や動画についての著作権・著作隣接権の利用手続きは、ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)という団体を通して行うことができます。
ISUMは個人ではなく、式場関係業者からの手続きを代行している団体のため、利用するには式場側がISUMと契約している必要があります。個人は式場を通し、さらに式場はISUMを通すことで、著作権や著作隣接権の利用手続きが可能となるのです。
ただしISUMが扱っている楽曲の数はJASRACに比べるとかなり少ないため注意が必要です。希望の曲がない場合には、楽曲リクエストすることもできます。個人からの申請も可能ですが、必ずしも許可が降りるわけではなく、審査には最短で1ヶ月かかります。

結婚式で注意しなければいけない著作権

下記では、結婚式での様々な音楽利用シーンごとに抵触しうる著作権について紹介します。

BGMに楽曲の原曲を流す場合

披露宴中の入場や退場のBGMとして原盤CDを流す場合には、著作権の演奏権に抵触します。また、サビだけを切り取って編集しなおしたり、複数の曲を一枚のCD-Rにまとめたりすると、著作隣接権の複製権に抵触することになります。
式場が原盤CDを求める理由には、複製権の存在が関係してきます。原曲を好きなようにまとめたオリジナルのCD-Rを使用するには、JASRACではなくISUMを通した手続きが必要です。ISUMでは演奏権と複製権の2つの権利についての手続きを行いますので、利用料はより高額になります。またISUMに登録されている曲に限定されるため、選曲の幅も狭まります。その点、原盤CDであれば演奏権のみの手続きとなり、選曲の幅も広がるというメリットがあります。
なお、ダウンロード版をそのまま流すことは、itunesなど配信元の利用規約に違反する可能性があります。楽曲の私的利用を条件にしていることが多いため、私的の範囲外とみなされる結婚式場では流せない決まりとなっているのです。

BGMにアレンジした曲を流す場合

楽曲にアレンジを加えた場合には、演奏権だけではなくさらに別の著作権に抵触する可能性があります。メロディのアレンジをする、歌詞を変える、翻訳するといった行為は、編曲権・翻案権・翻訳権に抵触します。これらの権利については、JASRACやISUMでは扱っていませんので、創作者や出版会社など著作権者に直接問い合わせる必要があります。
さらに編曲の範囲によっては著作人格権を侵害してしまう恐れがあります。著作人格権については、第三者への譲渡が認められていないため、こちらもJASRACやISUMを通さず、著作者本人から許可を得る必要があります。アレンジの程度にもよりますので、使用が可能かどうかは一度式場に確認してみましょう。

バンド演奏・カラオケをする場合

披露宴の出し物などでバンド演奏やカラオケを行った場合には、演奏権に抵触します。事前に式場側へ曲目を知らせて、JASRACに登録があるか確認が必要です。

余興動画のBGMに使う場合

余興動画のBGMとして原曲を使用する場合、上映方法によって、演奏権のみが必要なケースと演奏権と複製権どちらの手続きも要するケースに分かれます。
演奏権のみの手続きで済むのは、音無しの映像と原盤CDを、それぞれタイミングを合わせて同時に再生する方法です。 しかしダンス動画など、どうしても音声付きの映像でないといけない場合には、演奏権に加えて複製権の利用手続きが必要となります。音声付き動画にこだわりがある場合には、ISUMが扱う楽曲から選ぶのが良いでしょう。

まとめ

結婚式のBGMに関する著作権は、まとめると下記のようになります。JASRACの手続きだけで良いものもあれば、ISUMの手続きも必要となるケースもあります。

抵触する権利 JASRAC ISUM
原盤CD ・演奏権
オリジナルCD
(改変なし)
・演奏権
・複製権
×
オリジナルCD
(サビの切り取りなど)
・演奏権
・複製権
×
オリジナルCD
(替え歌・編曲)
・演奏権
・複製権
・編曲権/翻案権/翻訳権
・著作人格権※
× ×
バンド演奏・カラオケ ・演奏権
余興動画
(BGM別再生)
・演奏権
余興動画
(BGM付き)
・演奏権
・複製権
×
※改変が著作者の意に反する内容の場合

結婚式以外のケースでの音楽著作権については、「音楽著作権とは?JASRACってどんな団体なの?」を御覧ください。