国選弁護人とは?呼べる条件とメリット・デメリット紹介 | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年11月8日

刑事事件で被疑者や被告人となった人は、マイナススタートを強いられます。たとえ冤罪であっても、警察や検察はあなたがやったことを決めつけるかのように強引に話を進めてしまうものです。そんなマイナスの状況をゼロへ、そしてプラスへと変えてくれる唯一の存在が弁護士です。
弁護士がいなければ開けない裁判もあるほど、刑事事件において弁護士は非常に重要な役割をもっています。しかし弁護士費用は数十万円以上するのが一般的ですので、誰でも依頼できるわけではありません。
そんな金銭的な事情で弁護士を雇えない人の救済的な措置が国選弁護制度です。国選弁護制度では、一定以上の罪を犯してしまった人や貧困のため弁護士を雇えない人を対象に、弁護士の紹介や費用立替を行っています。
下記では、国選弁護制度を利用するための詳しい条件や、メリットとデメリットについて紹介します。
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国選弁護人とは

国選弁護人とは、一定以上の重罪かつ経済的に貧窮している被疑者や被告人に対して、国が弁護士の派遣を支援する制度です。 2006年からは法テラスに業務を委託して運用されています。法テラスとは、国によって設立された法務省管轄の法人です。国選弁護人は、裁判官からの要請をもとに法テラスが指名した弁護士から選ばれます。
起訴前の犯人と疑われる嫌疑者を被疑者、起訴後の嫌疑者を被告人と呼びますが、国選弁護制度は大きくわけて起訴前の被疑者弁護と、起訴後の被告人弁護に分けられます。

被疑者国選弁護

起訴前の勾留状態にある被疑者に対して行われるのが被疑者国選弁護です。被害者との示談交渉などを行うことで、不起訴や早期釈放を目指します。起訴後の有罪率は99.9%となりますので、ここで起訴となるか不起訴となるかが勝負の分かれ目であるといえます。
勾留状が出された被疑者に対して行われる勾留質問のタイミングで、裁判官から国選弁護制度について提案されます。被疑者が一定以上の罪にあり、経済的な理由で弁護士を雇えない場合にのみ、依頼することが出来ます。

被疑者国選弁護のタイミング
逮捕→勾留→起訴→公判

被疑者国選弁護の対象となるのは、1.被疑者が勾留状態にあること、2.資力が50万円以下であること、3.対象事件であること(下記参照)の3つが条件となります。なお、資力を証明するためには、被疑者の資産状態を明らかにした資力申告書の提出が必要です。
本来国選弁護は、起訴後の被告人に限られた制度でしたが、2006年に起訴前の被疑者に対しても弁護人をつけることができる被疑者国選弁護制度が新しく作られました。
2007年の時点では、起訴前のタイミングで弁護人が付いている割合は2割以下でした。しかし2009年より被疑者国選弁護の対象となる事件の範囲が広がったことで徐々に選任が増え、2015年には約7割にまで伸びました。

被疑者国選弁護制度の対象となる事件

2006年10月~ 法定刑が死刑又は無期若しくは短期1年以上にあたる事件
(殺人、殺人未遂、傷害致死、危険運転致死、強盗、現住建造物等放火、強制性交等罪など)
2009年5月~ 法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮にあたる事件
(傷害、業務上過失致死傷、窃盗、恐喝、詐欺、横領、収賄、自殺関与、同意殺人罪など)
2018年内見込み 被疑者が勾留されている全事件
(迷惑防止条例違反、暴行、器物損壊、名誉毀損、住居侵入罪など)

2017年11月時点では、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる事件である必要がありますが、今後は被疑者が勾留されている全事件が被疑者国選弁護制度の対象となることが見込まれています。
なお、被疑者国選弁護制度の対象外の事件である場合には、さらなる救済措置として刑事被疑者弁護援助制度が利用できます。法テラスで扱っている援助であり、資力が50万円以下の場合には、弁護士を通して利用が可能となります。

被告人国選弁護

起訴された後の被告人に対して行われるのが被告人国選弁護であり、憲法上で保証された制度です。主に公判での弁護を行い、無罪や減刑、執行猶予付き判決を目指します。
被告人国選弁護の中でも、必要的弁護事件と任意的弁護事件で手続きが変わってきます。

被告人国選弁護のタイミング
逮捕→勾留→起訴→公判

必要的弁護事件
必要的弁護事件とは、弁護士がいないと公判を開いてはいけない事件のことをいいます。一定以上の重罪や短期間で進められる公判の場合には必ず弁護人を付けなければならず、具体的には、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮にあたる事件、公判前整理手続・期日間整理手続が伴う事件、即決裁判手続による事件がこれにあたります。この必要的弁護事件では、経済的な事情に関わらず国選弁護制度を利用することができます。被疑者国選弁護を依頼していた場合には、引き続き同じ弁護士が公判でも弁護を行っていきます。

任意的弁護事件

必要的弁護事件以外の事件を、任意的弁護事件といいます。任意的弁護事件の場合には、弁護士がいなくても公判を開くことができますが、資産が50万円以下の場合には資力申告書を提出することで国選弁護人の選任を行うことができます。
また被告人が未成年、高齢者、心神喪失・耗弱者などの場合にも、裁判官の職権によって国選弁護人をつけることができます。

タイミング 条件
被疑者国選弁護 起訴前勾留 下記どちらも満たす。
・死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役
若しくは禁錮にあたる事件
・資力が50万円以下
被告人国選弁護 起訴後勾留 下記いずれかを満たす。
・必要的弁護事件
・資力が50万円以下
・裁判官が必要と認めた時

被告人段階での弁護士の選任率はほぼ100%となっており、そのうちの80%以上が国選弁護人です。年々選任率も増加しており、国選弁護制度が広く普及していることがわかります。

国選弁護人のメリット

では、国選弁護制度を利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。金銭面と、下記では、国選弁護人のメリットについてまとめています。

必ず来てくれる

私選弁護人の場合、内容によっては受任を断られてしまい、弁護を引き受けてくれる人が見つからないなんてこともありえますが、国選弁護人の場合には必ずマッチングします。弁護士会によって異なりますが、新人の研修の一つとなっていたり、義務化されていたりすることもありますので、必ずどこかの弁護士が駆けつけてきてくれます。

一定の条件下で無料

国選弁護の報酬は、訴訟費用として扱われます。無罪判決を勝ち取ったり、経済的貧窮が認められたりした場合には、訴訟費用は国によって賄われますので、被告人は国選弁護費用についても支払う必要はありません。
支払いが必要になるかどうかは、裁判官によって判断されます。被告人の支払い能力を見るため、例えば有罪でも懲役や禁錮といった実刑判決がでた場合には、支払いの必要がないと判断されることが多くなります。執行猶予付きの場合には、外で働くことで支払いが可能になると判断されるため、支払を命じられる傾向にあります。
また、訴訟費用の支払を命じられても、免除の申し立てをすることで支払を免れることができる可能性があります。訴訟費用免除の申し立ては、判決が下ってから20日以内に行う必要があります。

複数人選任されることも

裁判員裁判対象事件においては、必要と判断された場合には複数の国選弁護人が選任されることがあります。捜査段階から複数人選任されることもあり、より万全な状態で弁護が可能となります。

国選弁護人のデメリット

国選の弁護士の選任は、あくまで裁判官の要請によって行われますので、そこに当事者の意志は反映されません。下記のようなデメリットが発生します。

弁護士を選べない・変更できない

国選弁護人の選任や解任は裁判官の判断によって行われるため、任意の弁護士を選ぶことはできません。また、気に入らないからといって被疑者や被告人の意志で自由に解任することはできません。解任するためには、裁判官に上申し解任の必要性を訴える必要があります。その上で裁判官が解任した方が良いと判断した場合にのみ、解任と再選任が行われます。
または私選弁護人を雇うことで、国選弁護人は自動的に解任されます。

不可抗力で選任されてしまう

必要的弁護事件では、必ず弁護士が必要となります。本人がいくら弁護は必要ないと主張しても、国選弁護人は裁判官によって強制的に選任されてしまいます。また、選任された弁護士もこれを拒否することはできません。
場合によっては訴訟費用を負担しなくてはならなくなるために、被疑者や被告人にとって必ずしも嬉しい存在になるとは限らないようです。

おわりに

国選弁護制度は、経済的な壁を超えて等しく弁護を受けられるようになる制度です。お金がないからといって罪が重くなるなんておかしいですもんね。 刑事事件に巻き込まれたらまずは弁護士に助けを求めるのが一番です。今回は勾留以降に利用できる国選弁護についての説明でしたが、こちら(「当番弁護士とは?私選弁護人との違いやメリット・デメリットについて紹介します」)の記事では逮捕後すぐに依頼できる当番弁護制度や私選弁護人について紹介しています。是非合わせて御覧ください。