誰が何を相続することになるの?相続対象と順位まとめ | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする法律事務所
2017年6月15日

相続が開始されると、まずは誰が相続人となるのかをはっきりさせなくてはなりません。そしてどのような財産が残っているのかを調査して、分配することになります。誰かがやってくれるわけではなく、手続きの中には期限が存在するものもあるため、残された親族は自ら率先して動かなくてはなりません。
相続人は、親族であれば誰でもなれるわけではなく、法律で決められた優先順位が存在します。また、遺言書があればそれに従うことになります。この記事では、相続人がどのように決められるのかについてまとめています。相続人調査にお役立てください。

誰が相続

何が相続の対象となる?

相続の対象となるのは、被相続人(財産を受け渡す人)の財産に関する一切の権利義務です。プラスの財産もあればマイナスの財産も対象となります。
例外として相続の対象とならないのは、一身専属的な権利義務です。一身専属権とは、特定の人物にのみにしか認められない権利義務のことをいいます。信頼関係に基づいた契約など他人に譲渡できない権利となっています。
一身専属権の他にも、墓や仏壇などの祭祀財産についても相続財産には含まれません。

相続の対象となるもの 相続の対象とならないもの
・現預金
・不動産
・車、家財道具、貴金属、骨董品などの所有権
・有価証券類
・生命保険
・死亡退職金
・知財特許権
・損害賠償請求権
・債務
一身専属権の例
・生活保護の受給権
・婚姻関係や親権者などの地位
・雇用契約の使用者と被用者の地位
・委任契約の委任者と受任者の地位
・代理契約の本人と代理人の地位
・使用貸借契約における借主の地位
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・祭祀財産

不動産など分けられない財産については、換金して分割したり(換価分割)、同価値の財産で差額を調整したりして(代償分割)分けることになります。

誰が相続の対象になる?

財産を受け渡す人を被相続人、財産を受け取る人を相続人といいます。相続人と呼ばれる人は、被相続人と一定の関係にある親族(法定相続人)です。
法定相続人以外の人が財産を受け継ぐ場合には、相続とはいわず、遺言書による遺贈となります。遺贈を受ける人を受遺者といいます。

相続:法定相続人である親族が財産を受け継ぐこと。
遺贈:遺言書によって法定相続人又は法定相続人以外の人に財産を贈与すること。
被相続人:財産を受け渡す人。
相続人:財産を受け取る人。法定相続人から選ばれる。
法定相続人:法律で認められた相続権のある親族。
受遺者:遺言書で指定された財産を受け取る人。法定相続人以外の第三者がなることもある。

相続の方法には大きく分けて3つのパターンがあります。遺言書による遺言相続、民法に定められている法定相続(法定相続人がいない場合は代襲相続)、相続人が誰もいない場合の特別縁故者への遺贈です。相続も遺贈も行われなかった財産は、最終的には国庫に帰属することになります。

遺言相続

最も優先順位が高いのが、遺言書による相続です。遺言書が残っている場合、遺言書に定められた配分方法に従って指定された受遺者に相続されることになります。

遺留分

例外的に、遺言書に指定されている受遺者が法定相続人以外の第三者の場合、これに納得できない法定相続人は遺留分を請求することができます。法定相続人は、遺留分という最低限の相続権を法律で保護されているのです。
遺留分の配分は下記のように定められています。基本的には権利者全員で2分の1の取り分となり、直系尊属のみの場合は3分の1となります。権利者間での優先順位や配分は法定相続と同じ割合となります。次項を参照ください。

遺留分の配分

遺留分権利者 ・配偶者
・子
・父母、祖父母(直系尊属)
優先順位 法定相続と同様(ただし兄弟姉妹は含まない)
配分 ・基本的に全員で2分の1
・直系尊属のみの場合は3分の1
遺留分権利者間での配分は法定相続と同様
(ただし兄弟姉妹は含まない)

法定相続

遺言書がない場合、民法で定められた法定相続人が相続人となります。法定相続人となるのは被相続人の親族ですが、全員がなれるわけではなく、優先順位があります。該当親族がいなければ次の順位の親族、また該当親族がいなければさらに次の順位の親族が相続人となります。また、それぞれの順位ごとに相続配分も決められています。

順位 該当親族 法定割合
常に相続人 配偶者 1位~3位までいない場合、すべて相続
第一順位 子→孫→曾孫
(直系卑属)
配偶者:2分の1
子全員:2分の1
第二順位
(上記がいない場合)
父母→祖父母→曾祖父母
(直系尊属)
配偶者:3分の2
直系尊属全員:3分の1
第三順位
(上記がいない場合)
兄弟姉妹→甥姪 配偶者:4分の3
兄弟姉妹全員:4分の1

配偶者

配偶者は常に相続人です。配偶者+その他の親族が相続人となります。

第一順位

第一順位の法定相続人は子供です。子供がすでに死亡していて孫がいる場合には孫になり、子供も孫もいなくて曾孫がいる場合には曾孫になります。(代襲相続)
子、孫、曾孫など自分の後の世代を直系卑属といい、前妻(前夫)の子、孫、曾孫も含まれます。

第二順位

直系卑属が誰もいない場合には、第二順位である父母の親世代が法定相続人となります。父母がいなくて祖父母がいる場合には祖父母が相続人となります。父母も祖父母もいなくて曾祖父母がいる場合には曾祖父母となります。父母、祖父母、曾祖父母親世代を直系尊属といいます。

第三順位

直系卑属も直系尊属もいない場合には、第三順位の兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹がすでに死亡してる場合には、その直系卑属の甥姪が相続人となります。(代襲相続)

代襲相続

相続人が、相続する前に死亡したり、何らかの事由で相続権を失った場合には、直ちに次順位には進まず、まずは代襲相続が行われます。代襲相続とは、相続権を失った人に代わってその直系卑属が相続することです。

代襲相続の例

被相続人:祖父
相続人:父(死亡)
代襲相続人:孫

上記の例では、被相続人である祖父よりも先に、相続人である父が亡くなってしまった場合、その子供である孫へ代襲相続が行われることになります。更にその孫が死亡している場合には、曾孫に移ります。直系卑属が誰もいない場合には、次順位の法定相続人に権利が移ります。
なお死亡以外で相続権を失うケースとして、相続欠格と相続廃除があります。相続欠格は相続人が違法行為を犯した場合、相続権を直ちに失わせる制度です。相続廃除は、裁判所に申し立てることで相続権を剥奪することができる制度です。
下記の事由があった場合には、相続人としての権利が失われ代襲相続が行われることになります。

相続欠格事由(直ちに失われる)

・故意に被相続人や相続人を殺害又は殺害しようとして刑に処せられた
・被相続人が殺害されたことを知っているのにも関わらず、告発・告訴しなかった
・無理やり遺言書を作成、変更させたり妨害した
・勝手に遺言書に手を加えた


相続廃除事由(裁判所の判断)

・被相続人を虐待、侮辱した
・反社会的勢力に属している
・重罪判決を受けている
・不法行為など非行がある

特別縁故者への遺贈

相続人も受遺者もいない場合に限り、被相続人の特別縁故者として財産を受けることができる制度があります。戸籍での繋がりはなくとも、内縁の妻や事実上の養子など、生前に被相続人と特別な関わりがある人物にも、財産を請求する権利が認められているのです。
ただし誰でも特別縁故者となれるわけではなく、下記のいずれかの条件を満たし且つ家庭裁判所の認定が必要となります。

特別縁故者の申し立てができる条件

・被相続人と生計をともにしていた
・被相続人の療養看護をしていた
・上記と同程度の密接な関わりを持ち、財産分与が被相続人の意思として考えうる

法定相続人の調査をしましょう

法定相続人は、「被相続人の出生から死亡までの戸籍」を調べることによって知ることができます。相続手続きの際には必ず必要になるものです。身内同士でわかりきっていたとしても、対外的な証明として必要ですし、前妻(前夫)の子など誰も知らない親族がいるかもしれないからです。
戸籍調査は、死亡時に籍のある市役所から過去に遡って調べていきます。転籍を繰り返していた場合など、被相続人によっては複数の市役所に問い合わせる必要が出てきます。自分で動く時間がないのであれば、弁護士などの代理人に戸籍調査を依頼することもできます。