国会議員の免責特権とは | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年5月23日

民進党の大西議員による「陳腐」発言に対して、高須クリニックの高須院長が名誉毀損の訴えを起こしました。しかし国会議員には、自由な発言を保障するため、通常は負うべき法的責任を免れることができるという免責特権があります。 今回の高須社長による名誉毀損の訴えも、免責特権が大きく関係してくるために、司法がいかなる判断を下すのかが注目されています。
そもそも国会議員の免責特権とはどのようなものなのでしょうか。

国会議員

どのような責任が問われないのか

憲法では、国会議員の免責特権について下記のように定めています。

憲法第51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

両議院の議員とは、国会議員のことを指します。地方議員や国務大臣については対象外となります。国会議員は、その職務に関する発言については、通常であれば負うべき責任を免れることができるとしています。また発言とは口頭だけでなく文書も含まれます。
具体的には次のような責任について問われません。

刑事責任

他人の名誉を傷つけるようなことをすれば、普通は侮辱罪や名誉毀損罪として刑事責任を追求されることになりますが、国会議員が職務上した発言については、裁判などを起こして罪を問うことはできないとしています。

民事責任

名誉を毀損された被害者は、不法行為として加害者に損害賠償の請求をすることができます。加害者となる国会議員は公務員なので、訴訟の性質的には国家を相手取る国家賠償請求訴訟となります。しかし免責特権により、国会議員がした発言については、国家賠償請求訴訟を行うことができません。

弁護士、公務員の懲戒責任

弁護士や一般公務員を兼ねる国会議員は、発言によって弁護士会や行政による懲戒処分を受けることはありません。

免責の対象外となるケース

あらゆる発言が免責となるわけではなく、政党内の責任や権限の意義とは逸脱した発言の責任については、追求されることになります。

院内の責任

院外の責任については問われませんが、院内の責任については問われることになります。つまり、所属政党による懲罰処分については免責の対象外となり、具体的には、公開議場における戒告、陳謝、一定期間の登院禁止、除名処分が課される可能性があります。

職務と関係のない行為

国会中の野次、私語、暴力行為については、職務上の行為とはいえないために免責の対象とはなりません。

趣旨に反する発言

判例では、職務とは関係ない違法な目的での発言や、虚偽であることを知りながら故意にした発言については、責任の追求ができる可能性があるとしています。

なぜ特権が与えられているのか

国会議員は国民の代表となる人物です。国会議員の自由な発言を保障するということは、国民の利益となると考えられているため、発言の免責が与えられているのです。
国民の利益と個人の権利侵害を天秤にかけた時に、多くの場合では国民の利益が優先されるのでしょうが、明らかに個人の権利侵害が上回るような場合には、責任が問われることになります。
仮に免責となったとしても、失言をした国会議員は政党の処分によって責任を負うことになります。また、マスコミの報道などによって国民の感情も否定的になり、今後の選挙では落選となる可能性もあります。今回の高須クリニックの件に関しては、訴訟を提起することで国民の関心事となったという点で、大きな意味があったといえるかもしれません。