死亡事故の逸失利益とは? | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年5月10日

交通事故などで被害者が死亡してしまった場合、将来において貰えるはずだった被害者の収入を損害賠償として請求することができます。これを死亡逸失利益といいます。今回は、死亡逸失利益の算定方法を紹介します。

死亡

死亡事故における逸失利益

死亡事故における逸失利益は、損害賠償の消極的損害に分類されます。生涯の収入が補償されるものなので、損害賠償の中でもかなり高額となります。
死亡逸失利益は下記のようにして求められます。

死亡逸失利益
①年間の基礎収入×②(1-生活費控除率) ×③労働能力喪失期間の中間利息控除係数

①年間の基礎収入

年間の基礎収入は、基本的に事故前の年収によって換算されます。同年代の平均賃金よりも下回っていれば、平均金額に合わせられます。小さな子どもなど平均年収の算出が困難な場合は、全年齢の平均年収金額が基礎収入として認められます。
労働の対価としての収入のため、家賃収入などの不労所得は基礎収入として認められません。役員報酬は、労働対価部分のみ基礎収入として認められます。

②生活控除率

基礎収入の中には死亡している本人の生活費も含まれているため、これを控除する必要があります。どれくらいの生活費が発生するかは、被害者本人の立場や被扶養者の人数によって想定されます。自賠責、任意保険、弁護士の3つの基準によってそれぞれ控除割合が定められています。任意保険基準については会社ごとに定められているため省きます。

自賠責基準

被扶養者あり 35%
被扶養者なし 50%

自賠責保険の基準の場合は、被扶養者の有無で控除率が算定されます。被扶養者がいる方が生活費の控除は少なくなります。控除率が35%の場合、基礎年収の75%が年間の収入として認められます。

弁護士基準

一家の支柱かつ被扶養者1人 40%
一家の支柱かつ被扶養者2人以上 30%
女性(主婦、独身、幼児等を含む) 30%
男性(独身、幼児等を含む) 50%

弁護士基準の場合は、自賠責基準よりも細かい条件で定められています。一家の支柱でない女性の控除率が低く設定されているのは、基礎年収が男性よりも低いと想定されているためです。被扶養者のいない女性の場合、自賠責基準とは大きく差が出ます。

③労働能力喪失期間の中間利息控除係数

死亡してから原則67歳までの期間を労働能力喪失期間として計算します。ここから中間利息を控除したライプニッツ係数を乗じて逸失利益を計算します。
被害者が54歳以上の場合は、平均余命年数×0.5を労働能力喪失期間とします。

ライプニッツ係数

労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数
67 19.239 49 18.169 31 15.593 13 9.394
66 19.201 48 18.077 30 15.372 12 8.863
65 19.161 47 17.981 29 15.141 11 8.306
64 19.119 46 17.880 28 14.898 10 7.722
63 19.075 45 17.774 27 14.643 9 7.108
62 19.029 44 17.663 26 14.375 8 6.463
61 18.98 43 17.546 25 14.094 7 5.786
60 18.929 42 17.423 24 13.799 6 5.076
59 18.876 41 17.294 23 13.489 5 4.329
58 18.82 40 17.159 22 13.163 4 3.546
57 18.761 39 17.017 21 12.821 3 2.723
56 18.699 38 16.868 20 12.462 2 1.859
55 18.633 37 16.711 19 12.085 1 0.952
54 18.565 36 16.547 18 11.690
53 18.493 35 16.374 17 11.274
52 18.418 34 16.193 16 10.838
51 18.339 33 16.003 15 10.380
50 18.256 32 15.803 14 9.899

未成年などの未就業者については、実際の就業開始時期を18歳(大学生の場合は22歳)として算出します。ライプニッツ係数は下記の表のようになります。

未成年のライプニッツ係数

年齢 幼児・児童・生徒・学生・働く意思と能力を有する者
労働能力喪失期間 係数
0 49 7.549
1 49 7.927
2 49 8.323
3 49 8.739
4 49 9.176
5 49 9.635
6 49 10.117
7 49 10.623
8 49 11.154
9 49 11.712
10 49 12.297
11 49 12.912
12 49 13.558
13 49 14.236
14 49 14.947
15 49 15.695
16 49 16.48
17 49 17.304

死亡逸失利益の計算例

基礎収入500万円、扶養人数2人、一家の支柱であった30歳男性を例に、死亡逸失利益を実際に計算してみます。

死亡逸失利益
①年間の基礎収入×(1-②生活費控除率) ×③労働能力喪失期間(中間利息控除係数)

生活控除率は弁護士基準を用います。
500万円×(1-0.3)×16.711=5,848万8,500円と算出されます。