後遺症による逸失利益とは? | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年5月9日

逸失利益とは、違法行為によって受けた怪我のせいで得られなくなってしまった利益のことをいいます。失ってしまった利益を、具体的な金銭に換算して損害賠償の一項目として請求することができます。
中でも後遺症を負ってしまったことで得られなくなってしまった利益が、後遺障害逸失利益です。後遺障害逸失利益の算定方法を紹介します。

後遺症

後遺症による逸失利益

逸失利益での将来的に得られるはずだった利益とは、つまり収入のことです。怪我などの休業中に得られるはずであった収入は、休業損害として、症状固定までの期間中に対して請求することができます。
そして症状固定後に後遺症が残ってしまった場合に請求できるものが、後遺症による逸失利益です。休業損害が、療養期間中に対する損害賠償であるのに対して、後遺症による逸失利益は、将来において本来働けたであろう期間に対して請求できるものなので、損害賠償の中で最もウエイトを占める項目となります。
後遺症による逸失利益は下記のようにして求められます。

後遺障害逸失利益
①年間の基礎収入×②労働能力喪失率 ×③労働能力喪失期間の中間利息控除係数

①年間の基礎収入

年間の基礎収入は、基本的に事故前の年収によって換算されます。同年代の平均賃金よりも下回っていれば、平均金額に合わせられます。小さな子どもなど平均年収の算出が困難な場合は、全年齢の平均年収金額が基礎収入として認められます。
労働の対価としての収入のため、家賃収入などの不労所得は基礎収入として認められません。役員報酬は、労働対価部分のみ基礎収入として認められます。

②労働能力喪失率

怪我の後遺症の度合いごとに、どれだけ働く能力を失いうるかを数値化したものです。基礎収入に乗じて、能力喪失分だけを算出します。後遺障害が重いほど、額は大きくなります。
すべての労働能力喪失とみなされているのは、両目失明、両足喪失、咀嚼言語機能の喪失などの後遺障害1~3級相当の障害です。労働能力喪失率5%は、14級相当の親指以外の手指の一部喪失、手足に残った手のひら大のあざなどです。
例えば、基礎収入500万円の人が後遺障害11級と判定された場合、労働能力喪失率は20%となるので、
500万円×0.2=100万円と算出されます。

労働能力喪失率

等級 労働能力喪失率 等級 労働能力喪失率
1級 100% 8級 45%
2級 100% 9級 35%
3級 100% 10級 27%
4級 92% 11級 20%
5級 79% 12級 14%
6級 67% 13級 9%
7級 56% 14級 5%

③労働能力喪失期間の中間利息控除係数

労働能力喪失期間についてはそのまま乗じるのではなく、一括払いによって発生する 中間利息を考慮しなくてはなりません。逸失利益は、年間の収入にライプニッツ係数を乗じることで中間利息を控除した金額を算出することができます。
ライプニッツ係数は、労働能力喪失年数ごとに定められています。

ライプニッツ係数

労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数 労働能力
喪失期間
係数
67 19.239 49 18.169 31 15.593 13 9.394
66 19.201 48 18.077 30 15.372 12 8.863
65 19.161 47 17.981 29 15.141 11 8.306
64 19.119 46 17.880 28 14.898 10 7.722
63 19.075 45 17.774 27 14.643 9 7.108
62 19.029 44 17.663 26 14.375 8 6.463
61 18.98 43 17.546 25 14.094 7 5.786
60 18.929 42 17.423 24 13.799 6 5.076
59 18.876 41 17.294 23 13.489 5 4.329
58 18.82 40 17.159 22 13.163 4 3.546
57 18.761 39 17.017 21 12.821 3 2.723
56 18.699 38 16.868 20 12.462 2 1.859
55 18.633 37 16.711 19 12.085 1 0.952
54 18.565 36 16.547 18 11.690
53 18.493 35 16.374 17 11.274
52 18.418 34 16.193 16 10.838
51 18.339 33 16.003 15 10.380
50 18.256 32 15.803 14 9.899

原則症状固定から67歳までを労働能力喪失期間とします。
例えば、30歳の人が事故にあった場合には、労働能力喪失期間は67年-30年の37年となりますので、ライプニッツ係数は16.711となります。37年が約17年分となってしまうので、中間利息控除によって大きく減額されてしまうことがわかります。 未成年などの未就業者については、実際の就業開始時期を18歳(大学生の場合は22歳)として算出します。
ライプニッツ係数は下記の表のようになります。

未成年のライプニッツ係数

年齢 幼児・児童・生徒・学生・働く意思と能力を有する者
労働能力喪失期間 係数
0 49 7.549
1 49 7.927
2 49 8.323
3 49 8.739
4 49 9.176
5 49 9.635
6 49 10.117
7 49 10.623
8 49 11.154
9 49 11.712
10 49 12.297
11 49 12.912
12 49 13.558
13 49 14.236
14 49 14.947
15 49 15.695
16 49 16.48
17 49 17.304

後遺障害逸失利益の計算例

基礎収入500万円で、後遺障害11級と判定された30歳の人を例に、逸失利益を実際に計算してみます。

後遺障害逸失利益
年間の基礎収入×労働能力喪失率 ×ライプニッツ係数

後遺障害11級の労働能力喪失率は20%、30歳の人の労働能力喪失期間は37年でライプニッツ係数は16.711となります。
500万円×0.2×16.711=1,671万1,000円と算出することができます。