企業勤務弁護士、公務員弁護士|多様化する弁護士の就職先 | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年4月13日

弁護士資格を得たのに就職先が見つからない、という新人弁護士が増えている中、新たな就職先として確実に数を増やしているのが、インハウス(組織内)の弁護士です。顧問弁護士としてではなく、企業や官庁、自治体などの組織内で社員として働く弁護士が増えています。

公務員

インハウスローヤー(組織内弁護士)とは

インハウスローヤーとは、企業や組織の社員や職員となって働く、弁護士有資格者のことをいいます。インハウスローヤー増加の理由は、単純に法曹人口の増加だけでなく、組織の法的ニーズが高まってきていることも挙げられます。その背景には市場のグローバル化、コンプライアンスへの関心の高まりがあると考えられています。
就職を考える弁護士からしても組織内弁護士は、安定した給与、福利厚生、有給など、労働基準法の恩恵を受けられるという点で非常に魅力的なようです。また年間50万円以上かかる弁護士会費も、多くのケースで企業が負担してくれます。
インハウスローヤーは、企業内弁護士と行政庁内弁護士に分けることができます。

企業内弁護士

従来の企業内弁護士といえば、即戦力となる大手弁護士事務所の優秀な弁護士が、大手外資企業からヘッドハンティングを受けることでなれるような、一握りのキャリア層が働く場でした。
しかし昨年末時点での企業内弁護士数は1,827人。10年で約7倍にまで増加しています。しかも下記表からわかるように、企業弁護士の7割以上がまだ登録から10年以内の弁護士です。
企業弁護士は、若い層の弁護士の新たな働き方として年々確立されていることがわかります。

企業内弁護士数の推移

60期代※ 全体 60期代割合
2008年 42人 266人 15.7%
2009年 116人 354人 32.7%
2010年 177人 428人 41.4%
2011年 286人 587人 48.7%
2012年 425人 771人 55.1%
2013年 575人 953人 60.3%
2014年 773人 1179人 65.6%
2015年 1014人 1442人 70.3%
2016年 1349人 1827人 73.8%

※平成19年度以降登録弁護士

出典元:http://jila.jp/pdf/transition.pdf「企業内弁護士数の推移 – 日本組織内弁護士協会」

行政庁内弁護士

行政庁による弁護士採用が広がりを見せています。従来弁護士は報酬の伴う公職を兼ねることはできませんでしたが、平成16年の弁護士の公務就任の制限の撤廃により、弁護士が資格を持ったまま公職員として働くことができるようになりました。多くは、弁護士事務所に籍を置いたまま所属の行政庁に勤務する形がとられています。

組織内弁護士の特異性

組織内弁護士の特異性について、顧問弁護士と一般的な法務部員との違いから説明します。

組織内弁護士と顧問弁護士の違い

組織内弁護士は、組織の利益を第一に考えなければならないという点で、組織に対する深い理解が求められます。組織によって任せる職域は様々ですが、組織内の法的ニーズに対して細やかかつ迅速な対応が可能です。特にプロジェクトの開始段階から関わることができるため、予測されるトラブルを事前に回避するといった予防法務的な業務の遂行が期待されます。
企業内弁護士を雇うことで法律業務がすべて内製化されるというわけではありません。企業内弁護士には、企業と外部の弁護士とをつなぐパイプのような役割も期待されます。例えば、時間的コストが大きい又は専門性が高い案件など、必要な場面に応じて外部の顧問弁護士に依頼することが一般的なようです。

無資格と有資格の法務担当の違い

弁護士資格者は、司法試験合格や司法修習を経ていますので、一定レベルの知識や経験が期待できます。また弁護士同士の人脈もあります。なにより弁護士特権の訴訟業務を企業内で行うことができるという点で、有資格のメリットがあります。企業の独自性の高い訴訟など、企業内の弁護士の出廷が適している場面も確実にあります。

広がるフィールド

企業や行政庁に属する弁護士が増えたことは、司法改革の一つの結果であるといえます。法曹人口が増えたことで、敷居が高いという弁護士のイメージは、良くも悪くも変わりつつあります。近い将来、一組織に一弁護士が当たり前の時代が来るかもしれません。