自賠責保険と自動車保険(任意保険)の違い | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年3月29日

自動車事故を起こした際に受けられる補償として、自賠責保険と自動車保険の2種類の損害保険があります。
加入に義務があることから強制保険ともよばれる自賠責保険は、事故相手が怪我や死亡した際にしか補償がないなど制限があるのに対して、任意の加入のため任意保険ともよばれる自動車保険には、幅広い補償が存在します。
存在目的の違う2つの保険について、過失割合の扱い方の違いに注目しながらご紹介します。

自賠責保険

自賠責保険(強制保険)とは

自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)は、対人事故の損害保険です。公道を走る自動車や原付自転車に加入が義務付けられているため、強制保険ともよばれます。未加入で走行した場合は、刑事責任として1年以上の懲役又は50万円以下の罰金、行政上の責任として違反点数6点の加点と、運転免許の停止や取り消しの可能性もあります。

自賠責保険の補償範囲について

保険金の支払基準は国によって定められているため、一律固定となっています。保険金の上限金額が低く設定されており、必要最低限の補償内容となっているのが特徴です。また怪我人や死亡者が出るような対人事故専用の保険なので、物損事故には適用されません。

自賠責保険の上限金

傷害 最大120万
死亡 最大3,000万
後遺障害 最大4,000万

自賠責保険は、事故での死傷者の保護を目的とした保険です。死傷者の重過失を除き、過失相殺されることなく全額支払われます。なお重過失の場合は、精算金額から下記の割合だけ減額されることになります。精算金額が上限金額を超えた場合は上限金額から減額されることになります。

自賠責の重過失減額

過失割合 後遺障害・死亡 傷害
7割未満 減額なし
7割以上 2割減 2割減
8割以上 3割減
9割以上 5割減
全過失 支払いなし

例えば、AさんとBさんが車同士の人身事故を起こしました。Aさんの過失割合が3割で損害金が140万円だった場合、過失相殺すると98万円になるところを相殺されずに、自賠責の傷害上限保険金である120万円が支払われることになります。
一方過失割合の7割のBさんも怪我を負い、損害金は80万円でした。過失相殺すると24万円のところを、7割以上の重過失にあたるため80万円から2割減額されますが、自賠責保険からは64万円の受け取りとなります。

自動車保険(任意保険)とは

自動車保険は、対人事故に限らず、自動車事故によって起こりうる損害全般を補償する損害保険です。必要な補償内容と金額を選択して契約することができます。加入は任意のため、任意保険ともよばれます。以降は任意保険と表現します。

任意保険の補償範囲について

任意保険への加入は、補償内容に限りのある自賠責保険の不足分を補うという意味でとても重要です。人身事故だけでなく、物損事故の補償、また相手だけでなく自分の損害への補償もあります。
下記の「対人賠償責任保険」が自賠責保険と同様の補償になりますが、自賠責保険は上限金が定められているのに対して、任意保険の場合は補償額の上限を自分で選択することができます。

任意保険の例

相手への補償 自分の補償
傷害・死亡 車両・物 傷害・死亡
対人賠償責任保険 対物賠償責任保険 人身傷害保険
無保険車傷害保険
自損事故保険
搭乗者傷害保険
車両保険

自賠責保険は重過失を除き過失割合に関わらず全額支払われますが、任意保険の場合は過失割合に基づいた金額しか支払われません。また人身事故の場合は自賠責保険の範囲で足りなかった金額だけ支払われます。ただし任意保険の一括払い制度により、自賠責保険金と合わせて一括で受け取ることが可能です。
例えば、人身事故にあったAさんは過失割合3割で500万円の損害金を算出されました。相手Bさんの自賠責保険会社からは上限いっぱいの120万円が補償されましたが、過失相殺された350万円にはあと230万円ほど足りていません。この足りていない分はBさんの任意保険会社から支払われることになります。この時AさんはBさんの任意保険会社から350万円を一括で受け取ることもできます。
一方Bさんは過失割合7割で200万円の損害金となりました。重過失減額を受けてAさん自賠責保険会社から2割減の96万円支払われました。Aさんが負担すべき額は3割の60万円分なので、任意保険を使ってこれ以上支払う必要はありません。

自賠責保険と任意保険の内訳

A(損害金500万円) B(損害金200万円)
3割150万円 7割350万円 3割60万円 7割140万円
150万円自己負担又はA任意保険 120万円
Bの自賠責保険
60万円
A自賠責保険
36万円
Aの自賠責保険
230万円
B任意保険
104万円自己負担
又はB任意保険

任意保険の弁護士特約について

こちらの過失が0の場合、相手に保険金の支払義務がないため自分の保険会社は一切動いてくれません。すると示談交渉も自分一人で行わなくてはならず、しばしば納得できる損害金を受け取れないようなこともあります。しかし任意保険の補償内容に弁護士特約があれば、自分に代わって弁護士が交渉を行ってくれます。弁護士による交渉においては損害金のレートが通常よりも高く設定されているため一人で交渉するよりも確実に高額な損害金を受けることができます。
ただしどのケースでも弁護士特約を使えるわけではなく、自然災害に伴う事故は補償されないなど保険会社によって条件が定められています。また条件を満たせば自動的に行使されるわけではなく、保険会社に申し出て利用の了承を得る必要があります。そのため多くの人が存在すら知らず、弁護士特約の利用率は非常に低くなっています。
弁護士特約はメリットも多く非常に有効な補償です。有事になって慌てないために普段から弁護士特約をはじめどのような補償を受けられるのかを確認しておくことが大切です。