交通事故の過失割合とは?誰が決めるの? | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年3月22日

損害を受けた被害者は、加害者に対して金銭による損害賠償の請求を行うことができます。しかし交通事故の場合、一方に明らかな過失があるような場合を除き、互いに被害者であり加害者であるため、一概に被害者と加害者とを分けることは難しくなります。
そのため交通事故では責任の度合い示した過失割合によって、被害・加害の状況を判断しています。過失割合は損害賠償額を決める上で非常に重要な要素となってきます。

過失割合とは

過失割合と過失相殺とは

過失割合とは、交通事故が起きた際に事故の当事者達にそれぞれどれだけ事故原因の要素があったかを表した割合です。100%中それぞれ何%ずつ過失があったかで表されます。
例えば過失割合がAさん30%、Bさん70%の場合、AさんとBさんの過失割合は30:70などと表されます。
歩行者と四輪車の事故であれば、通常四輪車の過失の方が大きくなります。ただし赤信号にもかかわらず飛び出してきたなど歩行者側にも事故発生の原因があった場合、過失割合を設けることで損害賠償の額を相殺することができます。これを過失相殺といいます。

過失相殺による損害賠償金額減額の例

例えばAさんとBさんの過失割合が30:70で、Aさんの損害賠償額が1,000万円の場合、Bさんからの支払額はAさん負担分30%の300万円分相殺されて700万に減額されます。さらに、Bさん側の損害額が1,000万の場合、Aさんは30%の300万円を負担しなければならないので、結局のところAさんの受取額は700万円からさらに300万円差し引かれた400万円にまで減額されるのです。
このようにお互いに支払うべき金額を相殺する支払い方法を相殺払いといいます。対してお互いが相殺せずに支払う場合、つまりAさんがBさんに300万円、BさんがAさんに700万円支払う方法をクロス払いといいます。未払いのリスクを減らすために相殺払いが多く用いられています。

Aさん Bさん
過失割合 30% 70%
損害額 1,000万円 1,000万円
内訳
(青は相殺関係)
Aさん負担額:300万円
Bさん支払額:700万円
Aさん支払額:300万円
Bさん負担額:700万円
相殺後の金額 +700万円-300万円
=プラス400万円
-700万円+300万円
=マイナス400万円

過失相殺により支払金額が受取金額を上回る例

極端な例で、AさんとBさんの過失割合が30:70、Aさんの損害額1,000万円で、Bさんの損害額が5,000万円の場合、Aさんは5,000万円の30%の1,500万円負担しなければならないので、Bさんから支払われる700万円との差額800万円を逆に支払わなければなりなくなります。

Aさん Bさん
過失割合 30% 70%
損害額 1,000万円 5,000万円
内訳
(青は相殺関係)
Aさん負担額:300万円
Bさん支払額:700万円
Aさん支払額:1,500万円
Bさん負担額:3,500万円
相殺後の金額 +700万円-1,500万円
=マイナス800万円
+1500万円-700万円
=プラス800万円

このように過失割合が少ない場合でも、相手の損害額によっては支払いの必要が出てきてしまうのです。これが過失相殺の基本的な考え方です。ただし、人身事故の場合や保険の加入状況によって、実際の負担額は変わってきます。

過失割合は誰が決めるのか

過失割合は、警察の事故調査と過去の判例を元に保険会社が提示し、双方の話し合いによって決められることになります。過失割合は民事の問題ですので警察の直接的な介入はありません。ただし警察の事故調査を参考に決められるものではありますので、間接的に関わってくるといえます。
事故後、被害者と加害者の保険会社同士で過失割合についての話し合いが行われます。いわゆる示談交渉です。保険会社によって提示された過失割合に、被害者・加害者双方の同意を得ることができれば、その割合で決まることになります。合意を得られない場合は、裁判所に間に入ってもらう調停やADRという裁判所以外の機関(交通事故紛争処理センター等)を用いての話し合いが行われることになります。調停やADRでも決まらない場合は、訴訟で争われることになります。
過失割合は、基本的には双方の話し合い、まとまらなければ最終的に裁判所によって決められるのです。

保険会社の示談交渉は合法か

弁護士以外の人が、弁護士業務を行うことを非弁行為といい、法律で禁止されています。他人の示談交渉を行うことも弁護士業務にあたりますので、これを弁護士以外の人が行うことは通常禁止されています。
しかし保険会社による交通事故の示談交渉は、当事者性があるとして例外的に認められています。非弁行為となるのは、受けた依頼の他人性が前提となります。保険会社の場合、被害者の直接請求権があるため利害関係の当事者として示談交渉が認められています。
直接請求権とは、被害者が保険会社に対して損害賠償を直接請求できる権利です。加害者に支払い能力がない場合などに行使される被害者救済のための権利でもありますが、保険会社に当事者性を持たせるための制度でもあります。

保険会社が示談交渉を行ってくれない場合

ただし過失割合0の事故の場合、被害者側の保険会社は示談交渉を行うことができません。支払いなどの金銭的な利害関係が発生しないのにも関わらず、被害者の代理として交渉を行うことは非弁行為となってしまうからです。
自分一人での示談交渉は、適切な過失割合や示談金の判断が難しく、相手の保険会社との知識や経験の差から不利な条件を強いられる可能性があります。このような事態を避けるためには唯一交渉の代理ができる弁護士に依頼すると良いでしょう。万が一訴訟になった場合でも有利に進めることが可能です。また、弁護士費用特約付きの保険であれば弁護士費用の心配もありません。