【アイドル刺傷事件】犯人出所後に被害者を保護する制度は? | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年3月4日

2017年2月、東京地裁より小金井アイドル刺傷事件の判決が出ました。その内容は懲役14年6ヶ月の実刑判決。14年6ヶ月という刑期の妥当性について世間では様々な意見が出ていますが、被害者本人にとっては、加害者出所の可能性がある時点でその後の人生を常に身の危険を感じながら過ごさざるを得なくなることは間違いありません。
また、仮釈放制度もあるため刑期の短縮もありえます。
実際に加害者が仮釈放や刑期満了により出所したあとに、被害者を保護する制度はあるのでしょうか?

アイドル

日本の被害者支援制度について

日本の被害者支援制度にはどのようなものがあるのでしょうか。一般的な制度としては被害者通知制度があります。被害者は、事件や加害者についての情報通知を随時受けることができるというものです。
被害者通知制度を始めとする被害者支援制度について、公判中、加害者拘置中、加害者出所後にわけて説明します。

公判中の被害者支援

今回の事件では、被害者女性が被害者参加制度を利用し、自ら公判に参加し意見陳述をおこなったことでも話題となりました。私人同士の争いである民事事件とは異なり、通常、刑事事件での被害者は直接的に公判へ関わることはできません。しかし、殺人未遂事件、強姦事件などの重大事件については、公判への参加を被害者が望んだ場合、手続きを踏むことで間接的に関わることができるのです。

被害者参加制度

被害者支援の一つとして設けられている被害者参加制度では、被害者が直接公判に参加して意見表明や説明要求、証人尋問、被告人質問、求刑が可能です。その際弁護士による弁護も受けることができます。
また公判に被害者が参加する際には、必要があれば付添人がついたり、今回の公判のように被告との間についたてを立てて遮蔽するなどの措置が取られます。また別室からモニターを通しての参加も可能です。

公判の優先傍聴

公判は一般公開されていますので誰でも傍聴することは可能ですが、世間の関心が高い事件の場合は抽選によって傍聴権が決められます。そのような事件で被害者や遺族が傍聴を希望する場合、優先的に傍聴席の確保がされます。

損害賠償命令制度

刑事事件の判決が出される際に、同じ裁判官によって、民事の損害賠償についても合わせて判断してくれる制度です。民事の手続きを省くことができます。

公判についての被害者通知

被害者が希望すれば公判の日程、結果などの情報通知を受けることができます。

犯罪被害者給付金制度

故意の犯罪行為によって被害者が死傷した際に、国から給付金を受けることができます。事件を知ってから2年以内、事件発生から7年以内の申請が必要です。

加害者拘置中の被害者支援

実刑判決がでて、加害者が刑務所などの収容施設に拘置されている期間においては被害者は加害者の情報通知や仮釈放審理への意見陳述を行うことができます。

収容中の被害者通知

加害者の受刑中の状況についても情報を受けることができます。収容開始日・満了日、収容されている刑務所の場所、収容中の受刑者の様子、仮釈放についての審理情報、出所予定日などを知ることができます。

仮釈放審理への意見陳述

加害者を仮釈放するかどうかを決める仮釈放審理の際に、被害者や遺族は意見を陳述することができます。陳述内容は審理の結果に反映されます。

加害者出所後の被害者保護

では実際に加害者が出所した後、被害者はどのように守られるのでしょうか。

再被害防止要綱

警察庁では、再犯被害を防ぐために再被害防止要綱を制定しています。再被害の恐れのある事件の被害者を、再被害防止対象者に指定し、被害者との連絡体制を整えて情報提供を行ったり、警戒措置をとったり、時には加害者への警告を行ったりする等の再被害防止措置を行っています。

出所情報通知制度

被害者は加害者の出所日及び出所後の加害者の住所を事前に知ることができます。

心情等伝達制度

仮保釈され保護観察中の加害者に対して、被害者が心情を伝えられる制度です。被害者の実情や思いを伝えることによって、加害者の反省を深めることを目的としています。直接伝えられるわけではなく、保護観察官を通して行われます。

被害者が奪われた自由

出所後の加害者の住所を知ることができたとして、近くに住んでいる被害者は引っ越しの必要があったり、その地域を避けて生活することを強いられたりすることになります。あくまで出所直後の情報であり、加害者がその場所から引っ越せばそれ以上の情報はわからなくなるため、被害者はずっと不安な日々を過ごさなくてはならなくなりません。これでは被害者保護制度として不十分に思えます。
また、警察による再被害防止措置があるとはいえ、具体的な効力は不透明であり、絶対的な安全が保証されるわけではありません。実際に、出所後のストーカー加害者に殺害される事件も発生しています。
加害者更生のための社会復帰は、一方で被害者の自由な社会生活を奪うことにもつながるといっても過言ではありません。果たして、被害者が安心して過ごせる日は来るのでしょうか。