懲役と禁錮は何が違うの?日本の刑罰について | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年3月3日

「被告人を懲役○年の刑に処す」の懲役とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?同様に禁錮の刑もありますが、懲役とは何が違うのでしょうか?

日本の刑罰である懲役と禁錮の違い、有期刑や無期刑についても合わせて解説いたします。

懲役

刑の種類

刑罰の種類として、自由刑、生命刑、財産刑、身体刑、名誉刑があります。このうち、日本では財産刑、自由刑、生命刑が定められています。

財産刑

受刑者の財産を没収する、経済的な制裁です。罰金がこれにあたります。支払えない場合は、代わりに労役を行うことで償われます。1日あたり5,000円ほどが相場のようです。

自由刑

受刑者の身体の自由を奪う刑のことをいいます。日本では、懲役と禁錮と拘留が自由刑にあたります。

生命刑

受刑者の命を奪う刑です。つまり死刑のことです。

身体刑

身体の一部を切断するなど、受刑者に肉体的制裁を与える刑です。日本では江戸時代以降廃止されていますが、シンガポールでは現在でも身体刑として鞭打ち刑が存在します。

名誉刑

受刑者の社会的地位や名誉を奪う刑です。江戸時代の晒刑が名誉刑にあたります。現行刑法には定められていません。

「懲役」は刑務所の中での労働使役

懲役刑では、受刑者を収容施設に拘置し、施設内の炊事洗濯、木工や洋裁などの生産作業といった労働使役を科します。刑務作業は原則1日8時間以内とされ、受刑者には月5,300円程度の作業報奨金が支払われます。なお、刑務作業での作品は、法務省主催の「矯正展」というイベントで一般の人でも見ることができます。

有期は最長30年、無期は期限なし

懲役の期間は、有期と無期に分けられます。有期懲役は期間を定めた拘留であり、1ヶ月以上20年以内で決められます。併合罪によっては最短1ヶ月未満、最長30年まで延長できます。
対して無期懲役は期限のない懲役です。刑期の終わりがない前提で科される刑で、死刑の次に重い刑となります。

「禁錮」は労役のない監禁

禁固刑と懲役刑の違いは労役の有無です。禁錮受刑者は、一日中独房で過ごすことになります。独房内での自由は許されず、看守の指示でひたすら正座と安座を繰り返します。
禁錮は懲役よりも刑が軽いとされていますが、何もしないという精神的苦痛から、約8割の受刑者は自ら労働使役を願い出るようです。

無期禁錮の前例はなし

禁錮にも有期と無期がありますが、無期禁錮は内乱罪と爆発物使用罪・未遂罪にのみ定められており、これまで適用の前例はありません。
有期禁錮は懲役と同様に1ヶ月以上20年以内(併合罪によっては1ヶ月未満、最長30年まで延長可能)で定められています。
有期禁固のうち、30日未満を拘留といいます。

懲役か禁錮かの判断

懲役か禁錮かの判断について明確には定められていませんが、道徳に反するような破廉恥罪(殺人や強盗)へは懲役、非破廉恥罪(過失による交通事故や政治罪)へは禁錮が科されるとされています。しかし実際は裁判官の判断に委ねられるため、必ずしも前述のようにはなっていません。

受刑者の減免措置

受刑者に反省の意思が見られるような場合や、社会生活への復帰が更生につながると判断された場合、執行猶予付きの判決が言い渡されたり、刑期の途中でも釈放されたりすることがあります。

執行猶予付きの判決は自由の身?

執行猶予とは、比較的軽度の刑罰の場合、一定の期間刑事事件を起こさなければ、刑の効力を失わせることができる制度です。執行猶予は1年以上5年以内の範囲で付与されます。
平成27年度は、懲役確定判決の59%、禁錮確定判決の97%に執行猶予が付与されています。罰金に執行猶予が付与されるケースは1%以下となっています。

無期刑でも最短10年で仮釈放?

有期無期問わず、受刑者に更生の意欲があり再犯の恐れがない場合には、刑期満了前であっても保護観察付で釈放が認められることがあります。
有期であれば刑期の3分の1以上、無期であれば10年以上経過していることが条件です。また無期の場合、30年経過した時点で必ず仮釈放の審理が行われます。つまり無期刑を科されたとしても、条件を満たせば最短10年、遅くとも30年経過で仮釈放を検討される機会が与えられるのです。
しかし、実際に仮釈放が認められた受刑者の平均在所期間は30年を超えており、在所期間20年未満での仮釈放が認められたケースはここ10年ではありません。また、毎年5~10名程の仮釈放がありますが、全員50~70代の高齢の受刑者となっています。

日本における刑罰とは

日本における終身刑は、無期懲役と無期禁錮がこれにあたります。しかし、実際には仮釈放制度もあるため、終身刑だからと言って必ずしも一生檻の中というわけではないのです。こういった意味で、日本の刑罰は、応報というよりも更生を目的とする性質が強いといえます。いつか出られるかもしれないと思わせることで、更生を図っているのかもしれません。
有罪判決が出た場合でも、状況次第では執行猶予などの減免措置を受けられる可能性があります。もしも家族が有罪判決を受けてしまった場合には、弁護士に依頼することでより確実に社会復帰へと近づけることができます。

参考:
「法務省:刑務作業」
http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse10.html

「法務省:【検察統計統計表】」
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_kensatsu.html

「法務省:無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo21.html