弁護士と司法書士、弁護士と行政書士の違いは?士業のあれこれ① | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年2月24日

弁理士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士など、たくさんある士業のお仕事。これらは隣接士業とも呼ばれ、特にこれら5つは法律業務に当たるとされています。弁護士もまた法律業務を行うものですが、一体何が違うのでしょうか?
今回は弁護士と司法書士、弁護士と行政書士の違いについてまとめてみました。

その①

弁護士とは

弁護士は、民事・刑事におけるすべての訴訟の代理人、弁護人を行うことができます。またそれに付随する書類作成や申請業務、法律相談など法律に関する様々な業務を取り扱うことができます。

弁護士になるには

弁護士になるには弁護士資格を得た上で、日本弁護士連合会への弁護士登録が必要となります。
弁護士資格を得るには、法科大学院課程を修了後、法務省が行う司法試験に合格した上で、司法研修所に入所し司法修習を修了する必要があります。また、最高裁判所裁判官の職にあった場合も資格を得ることができます。
他にも、司法試験合格後に国会議員や法律学科の教授若しくは准教授を通算5年以上経験している、立法作業や契約書作成業務に7年以上携わっている、検察官として5年以上在職している場合、日本弁護士連合会の研修を経て法務大臣の認可を受けることでも取得できます。

弁護士資格の範囲

弁護士資格を有することで、他士業の業務の営業が許可されています。また弁護士資格を有するだけで他の様々な士業への登録が可能です。ただし司法書士や海事代理士は所定の試験を受けないと資格の取得はできません。

弁護士資格の範囲

業務許可がある 弁理士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、海事補佐人、海事代理人
資格登録可能 弁理士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、海事補佐人
資格取得には別途試験が必要 司法書士、海事代理人

弁護士と隣接士業との違い

弁護士は隣接士業の法律業務を行うことができますが、逆に他の士業は報酬を得る目的で下記に定められている弁護士業務を行うことは禁じられています。

非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止(弁護士法第72条)

弁護士の法律事務独占 訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、審査請求等行政庁に対する不服申立事件、その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすること

また、弁護士と隣接士業は、国の機関の監督下にあるか否かという点で大きく違います。

隣接士業は各行政庁の監督下に置かれており、行政を補助する職としての役割があります。それに対し弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること(弁護士法1条1項)」を役割としており、国家機関の監督下ではこの責務が十分に果たせないとして、監督省庁がありません。

実際に、日本弁護士連合会(日弁)には完全な自治権が認められており、登録や懲戒などの扱いはすべて日弁の判断で行うことができるのです。(例外としてH28にアディーレ法律事務所が戦後初の行政処分を受けたことで話題となりました)

隣接士業へ広がる訴訟代理権

訴訟代理は弁護士の独占業務ですが、一定の金額内や専門分野においては他の士業にも訴訟代理人としての権利が認められる場合もあります。例として、司法書士は簡易裁判所管轄であれば訴訟代理人を務めることができます。また、裁判外紛争解決手続(ADR)と呼ばれる法定外の紛争であれば、司法書士、弁理士、社会保険労務士は代理権が認められます。

司法書士とは

司法書士は、不動産や商業登記申請、裁判所や法務局に提出する法的書類作成を得意としています。一部の司法書士は、簡易裁判所における訴訟代理を行うこともできます。

司法書士になるには

司法書士になるには司法書士資格を持った上で、各都道府県の司法書士会に入会し日本司法書士会連合会への登録が必要となります。

資格取得には、司法書士試験(受験資格問わず)に合格するか、裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検察事務官を10年以上、または簡易裁判所判事、副検事を5年以上務めて、法務大臣による考査に合格することでも資格を得ることができます。

弁護士と司法書士の違い

弁護士も司法書士も国家資格です。基本的に下記に記載している司法書士業務は弁護士も行うことができます。法務大臣の認定を受けた簡裁代理認定司法書士であれば業務範囲が広がり、一部の弁護士業務を行うことができます。またADR代理権も認められています。

非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止(弁護士法第72条)

司法書士の専門分野 ・登記(不動産登記、株式会社登記)又は供託(家賃の弁済供託など)に関する手続きの代理
・法務局に提出する書類(帰化の申請書類)作成
・裁判書類(相続や債務整理関係の申立書)作成
簡裁代理認定司法書士に
限ってできること
・簡易裁判所管轄事件(訴訟金額140万円以内)の訴訟の代理人
司法書士ができないこと ・140万円を超える訴訟の代理人
・上訴、再審、強制執行の代理人
・自己破産、個人再生の申立代理人
・刑事事件の代理人

行政書士とは

行政書士は、官公署に提出する書類作成、権利義務、事実証明に関する書類作成を行うことができます。

行政書士になるには

行政書士になるには、行政書士資格を持った上で、各都道府県の行政書士会を経由して日本行政書士会連合会への登録が必要になります。

行政書士資格を得るには、行政書士試験(受験資格問わず)に合格するか、弁護士弁理士、公認会計士、税理士資格を得ていれば、行政書士の資格として認められます。また公務員や特定独立行政法人の職員として行政業務を行った期間が通算して20年以上(高卒大卒は17年)の場合も、行政書士資格を得ることができます。

弁護士と行政書士の違い

弁護士も行政書士も国家資格です。基本的に下記に記載している行政書士業務は弁護士も行うことができます。

行政書士業務

非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止(弁護士法第72条)

行政書士の専門分野 ・官公署に提出する書類(会社設立書類、契約書作成)や商業(飲食業、建設業、運送業、産業廃棄物、古物商など)許可手続き
・権利義務(遺産分割)に関する書類作成
・事実証明に関する書類(相関図、株主総会議事録、会計帳簿)作成
行政書士ができないこと ・法務局、裁判所、税務署※に提出する書類の作成
・法律事件に関する法律相談
・示談交渉
※ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税その他政令で定める租税に関する税務書類を除く

弁護士と司法書士と行政書士、どこにお願いするのがよいのか?

司法書士は登記や供託手続き、法的書類作成のスペシャリストです。行政書士も書類作成のスペシャリストですが、書類の提出先が官公署である点などで司法書士とは異なります。一方弁護士は、司法書士業務・行政書士業務どちらも行うことができるオールラウンダーです。
それならすべて弁護士にお願いすればいいのではないか、と思ってしまいがちですが、ここで注意して欲しいのは、他士業の業務が「許されている」ことと「常に十分な対応ができる」ことは別問題であるということです。つまり弁護士にも得意不得意があり、必ずしもすべてに対して十分な力が発揮できるとは限りません。
餅は餅屋というように、司法書士が特化している分野については司法書士、行政書士が特化している分野については行政書士にお願いするのが良いかと思います。ただし、訴訟関係になってくると制限が出てきますので、ケースによって司法書士、行政書士、弁護士とを使い分けるのが一番です。
隣接士業同士で連携しているような事務所もありますので、よくわからない場合はそういった事務所に相談してみることをおすすめします。

パート②へ続きます。