悪質なNHK訪問員に注意! | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年2月23日

NHK受信料にまつわるトラブルが多く発生しています。NHK受信料の契約や収納業務は、全国の民間業者に委託されていることから、多様な手段が使われています。中には無理やり契約を迫る行うケースもあるようです。

悪質な業者に騙されないためにNHK受信料についての正しい知識を身につけましょう。

NHK

NHK受信料支払いは国民の義務?

「受信料支払いは国民の義務で、支払わないと法律違反になります」などといって契約を迫って来る場合があります。

確かに受信料支払いの根拠として、放送法64条1項には次のような記載がありますが・・・

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

この条文では、NHKを受信できる受信設備を設置した者は、NHKと契約しなければならないとしています。NHKを受信できる受信設備として、具体的には下記のものがあります。

NHKを受信できる受信設備

・家庭に設置されているテレビ(一世帯につき一契約)
・NHKのテレビの視聴が可能なパソコン(同一世帯で契約済であれば不要)
・自家用車に設置されているテレビ(同一世帯で契約済であれば不要)
・事業所に設置されているテレビ(一部屋につき一契約)

上記の受信設備が設置してある場合は契約の必要がありますが、逆に言えば設置をしていない場合は、NHKと契約する必要はありません。例えばテレビやアンテナがない場合は放送を受信できないため契約義務はありません。契約義務がないということは支払いの必要もありません。

受信料支払いに関する判例

その他過去に支払い義務なしとの判決が下された例として、ワンセグ付携帯電話、マンスリーマンションの契約者、NHKカットフィルタ付きテレビ、故障したテレビなどがあります。

ワンセグ付携帯電話(H28.8.26さいたま地裁)

ワンセグ付携帯電話は、「設置」ではなく「携帯」であるとして、支払い義務はないとしました。しかしNHKは不服として控訴しており、現在でもNHKの公式サイトにはワンセグ付携帯は徴収の対象であるとの記載があります。
2017/6/9追記。
今年5月水戸地裁の判決において、ワンセグ機能つきの携帯電話は受信契約が必要というNHKの主張が認められました。司法判断が分かれた結果となりましたが、NHK側は引き続き受信契約の請求を行っていくと発表しています。

マンスリーマンション契約者(H28.10.27東京地裁)

マンスリーマンション契約者がNHKに対し受信料返還を求めた訴訟の判決では、受信料は視聴の対価ではなく設置の対価として課されるべきであるとして、NHKに受信料の返還が命じられています。
2017/6/9追記
今年5月東京高裁は、住人に支払い義務はないとする一審・東京地裁判決を退け、住人に支払い義務があるとする判決を下しました。テレビを占有している住人も「設置」した者に含まれるとして、受信料の支払い義務が認められています。

イラネッチケー(H29.1.19東京地裁)

筑波大の研究室によって開発されたNHKの周波数をカットする機器(イラネッチケー)を巡る裁判では、イラネッチケーをテレビに取り付けた状態についての債務不存在確認訴訟が行われました。

平成28年7月、東京地裁は着脱可能である場合は契約義務があるとして支払いを命じていますが、1月に行われた固定された場合での訴訟では、NHK側が提訴の不必要性のみ主張したことに対して、債務の存在については一切論じられなかったことから義務は生じないと判断し、NHKの請求は不当であるとの判決が出されました。

テレビ故障による解約(H27.9.1土浦簡裁)

テレビの故障を理由に解約をする場合、NHK側が故障を確認するまでは解約できないとする規約を理由に受信料請求訴訟を起こした件で、土浦簡裁は、確認作業等必要なく電話での報告があれば解約を認められるとし、NHKの請求を棄却しました。

契約まとめ

契約の必要がない場合

・テレビがない
・アンテナがない
・テレビが壊れている

係争中

・ワンセグ付携帯電話
・NHKカットフィルタ付テレビ
・テレビ付賃貸契約者など、設置をしていない人

BSアンテナがあるので衛生放送の契約は義務?

「あなたのマンションにはBS対応アンテナがあるので、衛生放送の契約が必要です」などという訪問員に注意してください。

衛星放送とはBS放送のことです。日本放送協会放送受信規約1条2項には下記の条文があります。

受信機のうち、地上系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置(使用できる状態におくことをいう。以下同じ。)した者は地上契約、衛星系によるテレビジョン放送を受信できるテレビジョン受信機を設置した者は衛星契約を締結しなければならない。

NHKの放送受信料には地上契約と衛星契約の2種類があります。衛星系によるテレビジョン放送(BS放送)が映るテレビがある場合には、衛星契約を結ばなくてはいけないのです。逆に、BS放送を受信できないテレビであれば契約の必要はありません。BS放送を受信できる条件は、(1)BS受信アンテナがあること(2)BSデジタル放送が受信できるテレビがあることの2つです。どちらかが欠けたら受信できませんので、契約の必要はありません。

衛星契約は地上契約よりも契約金額が高くなっています。そのため、訪問員としては無理矢理にでも衛星契約をさせたいのです。

過去分の支払いはどうなるの?

通常一般的な債権の消滅時効は10年ですが、家賃や地代など定期的に支払われるものに関しては短期消滅時効として5年と定められています。NHK受信料の場合は後者にあたりますので(H26.9.5最高裁)、過去分については5年以内であれば払う必要があります。

「過去分は免除するので、今後の支払いをしてください」というような言葉には惑わされないようにしてください。訪問員個人に免除の権限は与えられていません。下記放送法64条2項に、関連する記載があります。

協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。

上記のように勝手に免除してはいけない旨が記載されています。総務大臣の認可を受けている免除基準は下記のとおりです。これに当てはまらない場合、免除対象にはなりません。

日本放送協会放送受信料免除基準

 ■ 全額免除
  公的扶助受給者
  市町村民税非課税の身体障害者
  市町村民税非課税の知的障害者
  市町村民税非課税の精神障害者
  社会福祉事業施設入所者

 ■ 半額免除
  視覚・聴覚障害者
  重度の身体障害者
  重度の知的障害者
  重度の精神障害者
  重度の戦傷病者

無視したら何が起こるの?

法律上では、契約することを義務付けているだけであって、支払いの義務については定められていません。そのため、そもそも契約をしていない場合は、支払の義務はありません。
テレビがあるのにも関わらず契約することを無視し続けたらどうなるのでしょうか?法律上、条件を満たしているのにもかかわらず契約しないことについての罰則は設けられていません。変な話、一生訪問員のピンポンを無視し続ければ、契約の機会はないかもしれません。
しかし、過去に未契約について争われた判例では、すでにNHK側でテレビがあることを把握している場合、契約通知後2週間が経過すれば契約成立が認められるとの判決が下されています。(H25.10.30東京高裁)このケースでは本人がNHKへ契約を促すテロップ消しの連絡をしたことで受信契約を申し込んだと判断されました。
また別の訴訟では、契約者同士の意思が一致しなければ契約が成立しないとの判決(H25.12.18東京高裁)も出ており、判例が割れています。
ただしすでに契約を結んでいる状態で支払いを無視した場合は、契約不履行として民事で訴えられてしまいます。契約料未納についての訴訟も実際に起きており、NHKは勝訴しています。(H23.5最高裁)

悪質な訪問員に注意!

平成29年2月現在、NHKは全国254社の民間業者に受信料契約業務の委託を行っています。その他金融機関、ケーブルテレビ会社、不動産会社、電器店、家電量販店、引越会社等にも委託しているようです。これだけ数があれば企業によってやり方が変わってくるのは当然ですね。
NHKの訪問営業職は求人サイトの常連であり、離職率が高いことが予想されます。人の出入りが激しい仕事は教育が行き届かないために個々によって能力や理解度の差が出てくるものです。そのため誤った知識を平気で主張するような訪問員が出てきているのかもしれません。(ただ単に営業会社特有のオーバートークをあえて教育されているのかもしれませんが・・・。)また多くは歩合制の給与形態であるため、契約数がお給料に直結します。何が何でも契約しなきゃいけないという前のめりの姿勢の結果なのかもしれないですね。
迷惑行為にあたるようなことをしてくる訪問員もいるようなので、被害を受けた場合には警察に連絡しましょう。また詐欺まがいの契約をさせられてしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することで取り戻せる可能性が高くなります。
NHKを名乗る業者だからといって、必ずしも正しいことを言っているとは限りません。おかしな訪問員に言いくるめられないように、事前に知識を備えておくことが大切です。

参考:「NHK よくある質問集(FAQ)」
http://www.nhk.or.jp/faq-corner/03jushinryou/01.htm

『「放送受信料の契約・収納業務」委託法人名 – NHKオンライン』
http://www.nhk.or.jp/boshu/houjin/jigyousya/