過払い金はすでに時効?平成18年最高裁判決から10年 | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年2月22日

平成21年は民事訴訟(第一審)の事件数が23.5万件にも上り、そのうち6割である14万件が過払い金に関する事件でした。平成21年をピークに以降減少傾向を辿っている過払い金訴訟ですが、最近になってまたメディアに取り沙汰されるようになりました。なぜ今、過払い金が注目されているのでしょうか?

過払い金

過払い金は払いすぎたお金

過払い金とは、債務者が債権者である貸金融業者に払いすぎているお金のことを言います。法定の利息率を超えた借り入れをすることによって、本来は債務がなくなっているのにも関わらずに支払い続けてしまうことで必要以上の支払いが発生してしまいます。過払い金請求では、この払いすぎたお金を取り戻すことを目的としています。

なぜ過払い金が発生するのか

金利の上限を定める法律には利息制限法、出資法の2つがあり、利息制限法では年20%、出資法では上限29.2%と異なる上限が定められていました。異なる2つの上限があることで金利のグレーゾーンが発生し、これがのちの過払い金の原因となりました。

平成22年の出資法改正で金利の上限が20%に引き下げられたことにより、グレーゾーン金利は完全に撤廃されました。違法な利息だと認められると支払い義務はなくなるため、債務の残高が減ることになります。場合によっては債務を超える額を支払っているケースも発生し、これが過払い金として認識されるようになりました。つまり以前は条件付きですが認められていた金利帯が法改正により違法となり、結果的に過払い金が発生したのです。

金利に関する法律の改正内容

① 利息制限法の金利上限

借入金が10万円未満:年20%
借入金が10~100万円未満:年18%
借入金が100万円以上:年15%
これを超過したものは無効であり支払いの義務はありません。
また行政処分の対象にもなりました。

ただし任意の支払いの場合は返還を請求できないとも定められていました。
【廃止】

② 出資法の上限金利

年29.2% ⇒年 20%

ただし、日単位で返済日を設定する日賦貸金業者、電話加入権を担保に貸付を行う電話担保金融については、年54.75%【廃止】

これを超える利息契約をした場合には、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処すと定められています。

③ 貸金業法43条【廃止】

下記の条件を満たせば、利息制限法の利息上限を超えていても有効であると認められていました。これをみなし弁済といいます。現在ではすべて廃止されています。

・債務者が利息を任意で支払っている
・債権者が遅延なく法定の事項を明記した契約書を交付している
・債権者が毎回法定の事項を記載した受領書を交付している
・出資法に違反していない

グレーゾーン金利とは

グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利と旧出資法の上限金利の間の金利帯(15~29.2%)のことをいいます。これまでは上記で廃止されている規定の条件を満たせば、グレーゾーン金利帯の利息を受けることができました。そのため多くの消費者金融業者がこの金利帯での貸付をおこなっていたのです。

過払い金請求ブームの到来のきっかけ

平成18年の最高裁の判決(いわゆるシティズ判決)以降、過払い金の請求は空前絶後のブームを迎えます。

これまで過払い金に関する訴訟では、貸金業法43条のみなし弁済が成立するかどうかについて争われていましたが、平成18年の裁判ではみなし弁済の適用自体が否定されたともいえる画期的な判決がでたのです。この判決をきっかけに、みなし弁済による貸付がすべて無効とみなされ、当時の業界最大手「武富士」をはじめとする多くの金融業者が倒産に追い込まれました。また多くの債務者が過払い金の請求のために法律事務所へと駆け込んだのです。

過払い金返還の時効

過払い金訴訟は平成21年をピークに減少の一途を辿っています。平成18年の判決をきっかけに多くの金融業者が契約の見直しを行いました。そして平成22年の出資法改正以降は、過払い金対象となるグレーゾーン金利帯での貸付を行う金融業者はいなくなったため、トラブルの発生自体減っていったのです。
さらに、過払い金返還には時効があります。借入金の完済から10年以上経過すると時効が成立し、過払い金の返還はできなくなってしまいます。過払い金発生疑いのあるグレーゾーン金利が多く存在したのは、今(平成29年現在)から11年前の平成18年以前のことですから、すでに多くの案件が時効を迎えてしまっている可能性が高いのです。
ここ2~3年過払い金についての広告を多くみるようになったのは、平成18年の判決から10年が経ち、時効を迎えて返還ができなくなってしまう人に向けての広告戦略だったのです。
ただしあくまで完済から10年であり、起算点についてはケースバイケースであるため、少しでも心当たりのある場合はお早めに弁護士に相談することをおすすめします。