女性はなぜ再婚期間に制限が設けられるの?【平成28年度民法改正】 | 弁護士の選び方 | 弁護士がおすすめする東京・千葉・埼玉・神奈川の法律事務所
2017年2月21日

平成28年6月、女性の再婚禁止期間と再婚禁止適用除外要件についての改正がありました。これにより、女性の再婚禁止期間が100日にまで短縮され、また離婚時に妊娠していない場合は、制限期間の適用なく再婚が認められるようになりました。
明治以降続いてきた規定の改定となり、きっかけとなった訴訟での最高裁の判決は画期的違憲判決だと言われています。

再婚期間

6ヶ月の再婚禁止期間について

改正前の民法第733条では、女性は離婚してから6ヶ月を経過した後でないと再婚をすることが出来ないと定めていました。この再婚禁止期間は女性にのみ定められており、以前より女性差別であるとしてその違憲性について争われてきました。
過去の判例としては、平成7年に行われた違憲訴訟で再婚禁止期間は嫡子の父性推定の重複を回避する趣旨のものであり、違憲ではないとの棄却判決が出されていました。
しかし、嫡出推定について定めた民法第772条では、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子、再婚してから200日経過した後に生まれた子は現夫の子と推定すると定めており、仮に離婚日に再婚した場合、前夫と元夫の嫡出推定が重複しうる期間は最高100日間となり、6ヶ月(180日)という期間は非合理的であると学説上の非難が多くありました。(下記図参照)

【文中画像】再婚禁止期間

100日を超える80日間は違憲と判断

平成27年12月、再婚禁止期間のうち100日を超える期間は過剰な制限であるとし、違憲判決が出されました。そして翌年6月に民法第733条が改正され、再婚禁止期間が100日に短縮されました。さらに妊娠していない場合は、医師の診断書があれば100日以内でも再婚できるとする条文も合わせて発表されました。

再婚禁止期間自体が違憲であるとの声も

今回の改正のきっかけとなった、平成27年度12月の再婚禁止期間違憲訴訟では、再婚禁止期間そのものが違憲であるとの弁論がされています。近年は科学の発展によりDNA鑑定で正確に父親の判定ができるため、法律の規制によって父子関係をめぐる紛争を防ぐ必要性がないと述べています。またこれまでの判例で、民法が保護している家族制度は血縁関係によるものではなく、早期の父親確定によって子の福祉を保護するものであることが示されており、血縁による推定を前提とした再婚禁止期間は必要なく、再婚後に出生した子は現夫の子であると推定されるべきとしています。
再婚後に出生した子が現夫の子であるとする出生主義は、ドイツで採用されている制度です。ドイツでは平成10年に婚禁止期間が廃止されています。ドイツだけでなく多くの先進国で廃止されており、再婚禁止期間制度はすでに過去のものとなっているのです。

判決は法律?なぜ改正が遅れたのか

明治以来メスが入れられなかった再婚禁止期間についての規定ですが、前述したとおり平成7年度に一度棄却判決が出ています。「判例は法律」と言われるほど、過去の判例は裁判において多大な影響を及ぼすものです。今回のように時代錯誤とも言えるような法律でさえ、また時代錯誤な過去の判例があることで改正が遅れてしまうこともあるのです。
それだけに平成27年の違憲判決は大きな意味がありました。違憲訴訟を担当した作花弁護士によると、判例は法律ではなく、「活字である憲法に与えられた意味」に過ぎず、今回はその意味が変わった瞬間であり、そして意味を与えていくのはわたしたちだとも自身のブログで述べています。

無戸籍問題も

時代に沿った判例や法律は、国民による訴えなしでは生まれないものです。事実、法律への認知度の低さもまた制度改正が遅れる要因になっています。再婚禁止期間の根拠にもなっている、離婚後300日以内の子は前夫の子となる嫡出推定制度は、その認知度の低さから無戸籍の子供を招く事態となっています。多くの人が出生届提出時に初めて制度を知り、そのまま出生届が受理されず無戸籍状態に陥ってしまうのです。
このような無戸籍問題は以前からあるのにもかかわらず、取り沙汰されはじめたのはここ数年の出来事です。無戸籍問題を扱った書籍やドキュメンタリーなどが話題になったこともあり今では社会問題として世論が高まりつつありますが、まだまだ無戸籍の子供は増え続けており、課題は多く残されています。

参考:「再婚禁止期間違憲訴訟最高裁判所大法廷弁論趣旨:
http://sakka-law-office.jp/cgi/cgi-file/info/103/file1.pdf

「判例は法か/女性の再婚禁止期間違憲訴訟から考える:
http://ameblo.jp/spacelaw/entry-12117185178.html